インプラントは、保険診療ではなく、自由診療となり1本30万円から40万円かかってしまい、庶民には中々手がとどかない治療法です。しかし、2014年4月から保険適応になる条件が増えたため、条件をうまく知ることで費用を抑えて施術することが可能になりました。さらにインプラントを半額以下で施術する方法も、海外では可能なのです。インプラントのメリットは知っているけれども、値段がネックという方は必見の内容になっています!
今回は、下記の3つに分けてお話をしていきます。
- インプラントを保険適応にするための条件
- 保険対象にならなくても、インプラントを少しでも安くする知識と裏技
- インプラントを安く抑える奥の手
インプラントを保険適応させる条件は、ハードルが高いです。歯周病などで歯が抜けてしまったなどの場合は自由診療になるので、そちらを頭に入れながら読み進めて下さい。
インプラントを保険適応にするには、どんな条件がある?
インプラントを保険適応にするためには
- 受診する病院の条件が整っていること
- 治療する患者の条件が整っていること
の2つの条件を満たす必要があります。
インプラントを保険適応にする5つの病院側の条件
- 歯科、または歯科口腔外科を標榜している保健医療機関であること。
これは、一般的な歯科医院ならば大丈夫な条件ですね。
- 当該診療科に係る5年以上の経験および、当該治療に係る経験を3年以上有する常勤の歯科医が2名以上配置されていること。
これも一般的な歯科医院ならば問題ないです。やや小さめの歯科医院だと難しい条件になるかもしれません。
- 病院であること
実は、ここがネックなのです。病院の定義:ベッド数20床以上の臨床施設を持つもの。なので一般的な歯科医院は、ほぼ全て条件適応外になってしまいます。
- 当直体制が整備されていること。
- 医療機器保守管理、および医薬品に係る安全確保のための体制が整備されていること。
「病院であること」が満たされていれば、この2つの条件は満たされていると言って良いと思います。つまり、インプラントを保険適応させる病院側の条件を満たすには「大学病院であること」が必須の条件といっても過言ではありません。
では、次にインプラントを保険適応させるための患者側の条件を見ていきましょう。
インプラントを保険適応させるための患者側の条件
歯周病や虫歯などで歯を失ってしまったからといって、インプラントを保険適応にすることは出来ないです。保険適応にするための条件は
- 病気や外傷で広範囲(3分の1以上)にわたって顎の骨を失ってしまった場合。
簡単に言うと、怪我や病気(腫瘍や顎骨骨髄炎など)で歯を失ってしまったケースということになります。では、そのようにして保険適応になったインプラントはどのくらいの金額がかかるのでしょうか。
インプラント保険治療、その時に気になる保険点数と値段
厳しい条件をクリアして、いざ保険治療となった場合ですが、1本あたり、だいたいいくらになるのかを計算してみましょう。(実際は保険対象になるのは、広範囲での欠損になり1本で保険対象になることはないのですが、目安として。)
- 広範囲顎骨支持型補綴診断料:1800点
- 広範囲顎骨支持型装置埋入手術
一回法による手術:14500点
二回法による手術:11500点+4500点 - 広範囲顎骨支持型補綴(インプラント義歯):13000点〜18000点
1点が10円になる計算です。これに入院費や材料費、診察費が加算されます。計算の方法としては、3割負担であれば上記の点数に×0.3をして×10をすると値段になります。
かなりアバウトで正確な数字ではありませんが、イメージとして保険適応でインプラントを行うと10万円程度になるとお考え下さい。保険が適応になるインプラントの場合は一本などではない場合が多いので、金額はイメージとしてお考え下さい。
また、現実にはインプラント治療を保険適応で行なっている例はまだかなり少ないようです。
インプラントが保険適応になるという意味
インプラントは、一部マスコミで危険性が謳われることがありましたが、そのような危険な治療ではなく、保険適応となることで国が安全性と有用性を認めたということになります。ですので、歯を失ってしまった人にとっては、とても信頼性のある治療方法として検討する意味があるということなのです。
以上のように、インプラントを保険適応にするには、医院側と患者側に条件があることがわかりました。しかし、それでもインプラントの費用をどうにかして抑えたいというのがホンネです。ですので、次の章ではインプラントの費用を少しでも抑える方法をご紹介いたします。
保険対象でなくとも、インプラントを安くする知識と裏技
医療費控除をかしこく利用しよう
医療費控除というのは、年間の医療費が一定以上になった際に返還されるというものです。こちらはインプラントがもし保険対象にならなくても対象となるので、知っておくと便利です。確定申告のタイミングで申告することになります。
まずは1年で払った金額が10万円以上の時に対象になります。10万円を超えた部分が還付の対象になっていきます。計算式は、
(1年間の総支払い額—保険等で支払われる額—10万円)がもとになって、それに×所得税率で、所得税の還付金額、
それに×住民税率で住民税次年度の減額金額になります。
ちなみに所得税率は課税所得金額が
- 195万円なら5%
- 〜330万円なら10%
- 〜695万円なら20%
- 〜900万円なら23%
- 1800万円なら33%
- それ以上は40%。
という税率になります。住民税率は10%です。
といってもわかりにくいので、モデルケースを見ていきましょう。
インプラントを医療費控除させるモデルケース:年収500万の場合
例えば、インプラント治療で60万円かかり、民間の保険で支給された額が15万円、年収が500万円の人なら、
(60—15—10)×0.2=70000円の所得税還付となります。
(60—15—10)×0.1=35000円の翌年度の住民税の減額になります。かなりの額が還付されますので、しっかりとチェックをすることと、治療が行われた際の領収書をとっておくようにしましょう。またかかった交通費も対象になりますので、これらも領収書をとっておくといいですね。
かなりアバウトですが、医療費控除をうまく利用することでインプラントにかかった費用が1~3割程戻ってくるというイメージを持つとわかりやすいです。
このように、医療費控除などをうまく使うことでインプラントの費用を抑えることが可能になります。次に損害保険などの民間の保険でインプラント治療を安くする方法をお教え致します。
民間の保険でインプラントを安くしてくれるものは?
インプラントを保障対象としている保険は数少ないのですが、存在はします。現在(2015年1月19日)はアメリカンエクスプレスの「マイデンタル」がしっかりとインプラント治療をカバーしてくれます。損害保険業界でもかなり珍しく歯科治療の自由診療も保険適応診療もカバーしてくれるものです。
一例を挙げると、保険診療であれば、15万円を限度額にしてありますし、歯の詰め物も、セラミックなど高価なものにした場合も、1歯3万円程度、インプラントも1体10万円まで保険対象になります。月払い保険料も30歳であれば2000円程度となっています。またアメリカンエクスプレスのカード会員であれば、先進医療費用の保障や自由診療の限度額が30万円まで保障されるなど、特典もあります。このような保険を賢く利用するのも一つの手ですね。
インプラントは先進医療対象となるのか。
医療保険に入っていらっしゃる方で、先進医療特約を付帯している方もいらっしゃるかと思います。そこで気になるのが、インプラントが先進医療として認められるかということだと思います。結論としては、認められません。ただ、入院してインプラントの施術を受ける場合、入院特約の保障対象となるケースもあるようです。詳しくはご自身の入られている保険に一度確認をしてみましょう。
保険適応ではなくとも、インプラントを安くするための知恵まとめ
- 医療費控除を賢く使う
- 民間の保険を賢く使用する
- 入院特約などの保証を確認する
などです。国の制度である医療費控除や月々支払っている保険料をうまく利用し、インプラントを考えてみてください。それでは最後にインプラントを安く抑えることのできる最新の裏ワザをご紹介いたします。
インプラントを安く抑える最後の裏技は海外で治療を受ける。
世界の常識は海外で歯科治療をうけるデンタルツーリズム
欧米やオーストラリアなど、歯科治療が保険対象とならず高額な国で、タイやカンボジアなどの国へ行き、バカンスと共に歯科治療も受けようというものをデンタルツーリズムと呼びます。
欧米やオーストラリアは、虫歯を治すのにも保険対象とならないので、10万円程度かかってしまいます。そこで航空券を考えても何本か治療するのであれば、医療費そのものが安い国に行ったほうが良いということではじまったのが、デンタルツーリズム。とはいえ、タイやカンボジアに行き治療を受けるのは、言語や衛生面、医療技術で不安という方もいらっしゃると思います。しかし実際の診療はかなりの高水準。ぜひ例をご覧になってみてください。
タイのデンタルツーリズム
(バンコクの歯医者さん。高級ホテルのような雰囲気です)
実はタイは、地理的な近さから、オーストラリアからのデンタルツーリズム客が多い国となっていて、かなり歴史もあります。これは一例ですが、1顎のインプラントが50万円程度で行えます。日本との価格差は半額以下です。
さらに、2、3日で完成となるので、インプラント治療をしながら、観光もしてということも出来そうです。気になる医療水準ですが、欧米や英国の歯科医師資格をもつ歯科医師やそれらの国で経験を積んだドクターが多いので安心もできます。またインプラントの技術自体のアメリカの医師会に認められたものを使っていたり、滅菌基準も世界基準を採用しているため、医療技術、衛生面共に安心ができそうです。そして医療施設自体もホテルのような施設になっており、リラックスして診療が受けられそうです。
カンボジアのデンタルツーリズム
(カンボジアの歯医者さんも立派です)
カンボジアでのデンタルツーリズムは、日本人歯科医師が開業しているところもあります。もともとインプラントの専門医であった先生が、日本では、治療自体はいいものでも多くの人には手が出ない価格になっていることをなんとかできないものかと考えカンボジアで開業したようです。
日本人医師であるということで、言語の面でも医療水準でも安心ができますね。しかし、歯科技工士の技能が少し心配と思われる方もいらっしゃると思います。というのも、実際にインプラントの人口の歯の部分は現地で加工するもの。
しかし、カンボジアはかなりインプラントが盛んなため、技工の技術が高くないと生き残れないようで、日本の歯科医師の方が見ても安心できるレベルのようです。
さらに、日本では高額でなかなか使われない最高級のセラミック、ジルコニアを使って技工することも安価で可能になります。4、5本を行って20万円程度になります。シェムリアップに初日に訪れて、2、3日アンコールワットやリゾートで観光を楽しんで、4日目に再度シェムリアップを訪れて日本に帰国するというプランが人気のようです。スカイプで事前に相談を受け付けている歯科医院もあるようなので、まずは連絡をしてみて、顔をあわせて直接話を聞きながら具体的にプランを練っていくのもよさそうですね。
インプラント保険適応とインプラントの費用を落とす裏ワザまとめ
いかがだったでしょうか。第二の永久歯と言われるほど、インプラントは使いやすさもよく快適なもの。さらに保険適用ということで、日本でもその技術方法が認められ、地位も確立されています。やはり歯は一生の友であり、毎日の生活にかなりの影響を及ぼすものですよね。納得した上で、質の高い治療を受けることもとても大切ですよね。高いイメージのあるインプラントも様々な方法で安価に抑えることができます。気になる方は色々な方法をぜひ試してみてくださいね。