歯周病は万病の元って本当?
こんにちは、歯科衛生士の林です。
「歯周病予防にはプラークコントロール」とか、「歯周病ケア」という言葉はよく耳にしますね。口の中だけの病気だと思っていませんか?実は、歯周病は、全身に影響を及ぼす怖い病気なのです。
なぜ、歯周病ケアが大事なのか、歯周病の実態をお伝えしましょう。
■まさか!歯周病で骨が溶ける!?
「歯を失う」と聞くと、高齢者の話だと思っていませんか?歯周病が進むと、歯周病菌によって、歯を支える骨(歯槽骨)が溶けてしまい、歯を抜かざるを得なくなることがあります。
骨の再生治療の研究も進んでいますが、現在の歯科治療では不可能であり、歯を失う原因の第1位です。
日本人のほぼ全員が歯周病にかかっています
2005年の厚労省・歯科疾患実態調査によると、40才以上の70%が歯に深い歯周ポケットがあり、歯周病になりかかっています。40歳前後が27% 50歳前後になると43% が歯周病になりかかっている 歯石や歯茎から出血するという初期症状のある方を合せると、約8割の人に歯周病があることがわかっています。
1000億個の細菌が全身に影響
プラークの中には、1000億個とも言われる細菌が存在します。 この細菌が歯周ポケットの中で増えると、炎症や潰瘍ができます。
その部分から、歯周病菌を攻撃するために、免疫細胞が働き、その結果として産生された物質が、全身を駆け巡り、身体のあらゆるところで影響を及ぼすというわけです。 また、細菌の作り出す毒素自体も、血液にのって全身へ運ばれていきます。
■メタボの原因にもなり、突然死もある、実は恐ろしい病気
心筋梗塞や脳梗塞の原因になる
免疫細胞から作り出された物質や、細菌の作り出す毒素が、血液にのって運ばれた先が、心臓の血管であれば、そこで動脈硬化を起こして心筋梗塞の原因となります。
また脳の血管であれば、脳梗塞を発症します。歯周病があると、こうした病気になる危険性が高くなることがわかっています。
歯周病のせいで太っていく??
免疫細胞から作り出された物質TNFαは、血糖値をコントロールするインスリンの効き目を悪くしてしまいます。 その結果、糖尿病になったり、メタボリックシンドロームの原因となったりします。また、糖尿病のある方では、更に糖尿病が悪化し、免疫力が低下して、歯周病が治りにくいばかりでなく、重症の歯周病に進行する場合もあります。
歯周病になると、血糖値がコントロールできなくなり、メタボリックシンドロームになっていく。
こんな病気まで歯周病が原因なの??
歯周病菌が口から気管を通して肺に入れば肺炎に。 妊娠中であれば生まれてくる赤ちゃんが育たずに低体重や早産に。 手足の血管がつまって血液が流れなくなる病気や、骨粗しょう症なども関係があると言われています。
■おわりに
歯周病は口の中だけの病気ではありません。全身の病気を引き起こす恐ろしい病気です。歯を磨いているから大丈夫というのが一番の落とし穴。症状がなくても、歯科検診を受けて、口だけでなく全身の健康を手に入れましょう。