ガミースマイルの治療法②歯茎切除(はぐきせつじょ)
歯茎の見えすぎている部分を切り取ることでガミースマイルを改善する方法です。
ガミースマイルの人の中には、歯茎から露出している歯の長さが短すぎることが原因となっている場合があります。
最初は誰でも歯が短い
歯は小学生くらいから生え変わりが始まり、乳歯から永久歯へと徐々に交替していきます。歯茎から出始めた歯はまだ埋まっている部分が大きく長さが短いのは当然です。成長と共に永久歯は歯茎から見える部分が長くなり、歯頚部(図参照)と呼ばれる歯の首に当たる部分(頭の根の境目)まで出たところで収まるのが一般的です。
この時、歯の成長と同時に歯茎も短くなっていくものですが、ガミースマイルの人は歯茎が歯の頭の一部を覆う形で止まってしまいます。そのため、歯茎が通常のラインより下まで下がって見えるとともに、歯が短く見えるのです。
ガミースマイルの人の歯茎は、歯とくっついていない??
ところで歯の頭の部分は、エナメル質という骨より硬い組織で覆われています。このエナメル質は、歯の露出している部分を熱や冷たさ、風やばい菌などのさまざまな外からの刺激から守る役割をしています。反対に、もともと歯茎の中に収まっている歯の根の部分にはエナメル質はありません。歯茎はこのエナメル質を持たない歯の根の部分に繊維のようなものでくっついています。
つまり歯の頭の部分まで覆ってしまうガミースマイルにみられる歯茎は、エナメル質のある歯の頭の部分にくっついていない状態にあります。簡単に言うと、歯の上に乗っかっていると考えるといいでしょう。
余分な歯茎を切り取る方法が、歯茎切除法
そこで歯茎切除では、この余分に乗っかっている歯茎を切り取ることで歯の見える長さを長くして、歯茎の見え具合を少なくします。
歯茎にも種類がある。
唇を持ちあげて歯茎を見てみると、薄いピンク色で触ると硬く引き締まった歯茎と、その先にやや色の濃い少し柔らかくつるつるとした歯茎があることがわかりますね。この硬い部分の歯茎を付着歯肉といいますが、歯茎切除法はこの付着歯肉の幅が広い人に適しています。程度の軽い人なら、歯に乗っかっている歯茎を切り取るだけでかなり見え具合が改善されることが期待できます。
ガミースマイルの人は歯周病になりやすい!?
実はこの付着歯肉と呼ばれる歯茎は、口の中の健康を保つためにはとても重要なポイントなのです。歯と歯茎の間には歯周ポケットという隙間があります。健康な人で1~3㎜程度と言われていますが、ガミースマイルのように歯に付着歯肉が乗っかってしまった状態では、エナメル質に歯茎がくっつくことができないため必然的に歯周ポケットが深くなってしまいます。
そうすると、その部分は格好の細菌の繁殖場となって虫歯はもちろんのこと歯周病を引き起こす原因ともなってしまうのです。ですから、歯茎切除はガミースマイルの改善だけでなく歯周病などの口の中の病気の予防にも有効と言えるのです。
メリット・デメリットをしっかりと考え、手術をすること。
この方法は、ガミースマイルの改善手術としては一番手っ取り早く、術後のダメージが少ないので合理的な方法ともいえますが、切り取った後に残る付着歯肉の幅が確保できなければお勧めできません。もし付着歯肉の幅が狭い場合には、歯茎だけを切り取ってもあまり変化がないため歯茎と骨の両方を取り除く必要があります。
この手術を行うと、時に歯と歯と間に隙間ができてしまうことがあるようです。ですから、カウンセリングでそういったデメリットもきちんと説明を受けて納得したうえで手術を受けることが大切です。
費用はこのくらい。
歯茎切除の手術時間は大体1時間前後。費用は35万円~40万円くらいかかります。美容外科や形成外科をはじめ、口腔外科を行う歯科でも受けることができますが保険は適用されません。
また、どこまで切除するかはドクターの経験や技術にかかってくるので、仕上がりが大きく異なってきます。信頼できるドクターを選びましょう。